「繊維業界はやめとけ」そう言われて、就職や転職に迷っていませんか。

実は私…新卒で老舗繊維メーカーに3年ほどいました
結論から言うと、全員に「やめとけ」と言うつもりはありません。
ただ、合わない人にとってはしんどい業界だと感じています。
繊維業界から抜け出した私が超個人的にいうと「抜け出してよかった」です。その理由も後述します。
この記事では、老舗の繊維メーカーで3年働いた私が、リアルな実態と向き不向きを正直にお話しします。
繊維業界が「やめとけ」と言われる5つの理由

まずは、なぜそう言われるのかを整理します。

撚糸までの工程がある工場で働いていた経験、
また工場だけではなく、支社でも働いたことがあります。
私が働いていた会社はグループで1,000人、単体でも500人ほどの規模でした。
決して小さな会社ではありません。
それでも、これから挙げるような実態がありました。
体質がめちゃくちゃ古い
一番強く感じたのがこれです。
そのため、長時間労働が正義だったり、年上が圧倒的に偉いという状況があります。
そもそも私が勤めていた会社はタイムカードがなく、残業が申告制だったんです。

入社するとなんと、タイムカードがありませんでした
出退勤を機械で記録する仕組みがなく、勤怠は基本的に申請をしない限り通常の勤務時間で打刻したと同じ扱いになります。
つまり、残業の打刻がつかないんです。
残業は、その日の17:00までに上長に申し出て、許可が出た場合のみ可能。
ですが、そんなことをする社員は実質いません。みんなサービス残業ということになります。
唯一申請していたのが、連日どう頑張っても定時に終わらないことが確定している3月の期末だけは申請が通るとのことでした。
ちなみに私は申告したことありません。
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感覚と経験で物事が決まる
データや数字ではなく、ベテランの感覚で判断が下される場面が多くありました。

「なぜ?」と聞いても「昔からこうだから」で終わってしまうんです
長年やってきた人の勘は、確かに侮れません。
ただ、根拠が示されないぶん、若手には何が正解なのか見えないんですよね。
よくビジネス用語で「エイヤでやる」と言いますが、この「エイヤ」が8割くらいありましたね。
改善を提案しても、判断基準が感覚である以上、なかなか若手の思うような改善ができない状況が頻発していました。
年功序列で若手が上がれない
昇進のスピードは、基本的に年次で決まります。

成果を出しても、順番待ちなんですよね
どれだけ頑張っても、上の世代が詰まっていれば席は空きません。
私の会社には「主席」がたくさんいました。主席とは部下を持たない管理職のこと、と説明されて「なんじゃそりゃ??」と思ったもんです。
どこかの課長が抜けたら、この主席が課長になるため、なかなか管理職のポストがあがりにくい状況でした。
これは能力の問題ではなく、構造の問題です。
「実力主義の会社で早く成長したい」と考える人ほど、もどかしさを感じる環境だと思います。
他の製造業より給料が低い
これは私の実感だけでなく、データにもはっきり表れています。
繊維業界は他の製造業よりも平均給与が低いんです。

同じ製造業でも、これだけ差があるんです
厚生労働省の調査をもとに、製造業の業種別の平均年収を比べてみましょう。
| 業種 | 平均年収 |
| 繊維工業 | 357万600円 |
| 製造業全体 | 513万5500円 |
| 電気機械器具製造業 | 567万7400円 |
| 輸送用機械器具製造業 (自動車など) |
573万5000円 |
| 全産業平均 | 506万9400円 |
※厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」をもとに算出された業種別の平均年収
繊維工業は、製造業全体より150万円以上も低いという結果でした。
自動車などの輸送用機械と比べると、その差は200万円以上になります。
ちなみに私のいた会社の場合、新卒3年目で昇格して年収380万円ほどでした。
生活できない金額ではありません。
ただ、年功序列である以上、この先も大きくは変わらないだろうという見通しが立ってしまうのです。
先輩たちの給与水準を見れば、自分の10年後もだいたい想像がついてしまいます。
その「見えてしまう感じ」が、じわじわと効いてきました。
業界全体の斜陽感
これは会社の努力だけではどうにもならない部分です。

頑張ってるのに、追い風が吹いてない感覚…
国内の繊維産業は、海外生産へのシフトが進んで久しい業界です。
バブルのように高級志向の洋服を市場が求めておらず、唯一無二の技術がある工場でもロット(発注単位)が小さく、なかなか会社全体の売り上げには結びついていないようでした。
社内にいると、この先どう成長していくのかが見えにくく、将来性への不安が常につきまといました。
会社が悪いというより、業界の構造として厳しいのです。
だからこそ、個人の頑張りでは解決しにくい問題でもあります。
大手の老舗繊維メーカーで働いた3年間

新卒で入社したのは、歴史のある繊維メーカーでした。

入社当初は、安定した会社に入れたと思っていました
グループ全体で1,000人ほどの規模で、上場もしており、業界では名の知られた会社です。
配属されたのは事務系の部署で、原価計算と総務を担当していました。
歴史もあり、上場企業だったため、親世代や百貨店で働いている親戚からはかなり高評価で、入社当初は誇らしかった記憶があります。
ところが、働き方と給料に徐々に違和感を覚え始めました。
メーカーの工場というのはすごくコストカットをします。
そのため、夏場も30度超えてもエアコンをつけてくれませんでした。
33度を超えたら課長に「エアコンをつけるか」の相談ができるというものでした。
「そんなことあり得るの?」と思われるかもしれませんが、本当にあったのです。
私はこれで体調を崩してしまいました。

労災では…?と思いましたね
また、先にも述べたように残業代という概念はありませんでした。
なのでどれだけ残業をしても給料は変わらず、サービス残業が常態化してしまっていました。
これは工場だけではなく、支社でも一緒です。
従業員の給与も含め、コストカットへの意識が異常だったのを覚えています。
そんな大変な働き方をしているにも関わらず、給料は他の業界より低く、年功序列が根付いているため、若手がどれだけ頑張っても給料は上がりませんでした。
私は工場で体調を崩してしまったため、同期よりも給料が上がらなかったので、この辺りからこの会社に勤めても未来ないなと思い始めました。
業界としても縮小傾向で、ファストファッションが流行る中、質の高い生地は思ったよりも売れません。
一部の有名ブランドに卸しているとしても、ロットは少なく、ちょっとした広告くらいにしかなりません。
そうなると会社は繊維事業を縮小していき、ショッピングモールの経営に力を入れたり、別事業に乗り出したりして、自分は繊維事業がやりたくて入ったのに別事業の配属になったという同僚もたくさんいました。
繊維メーカーに入りたかった自分は、伸びない業界で、どこに飛ばされるかわからない中、働き続けることに疑問を持ち始めてしまいました。
このまま10年いても、自分の年収も立場もあまり変わらないだろう。
ひょっとすると繊維のこともできなくなるかもしれない。
そう思えてしまったことが、辞める決め手として一番大きかったです。
結局転職エージェントを使って70万ほど給料が上がったので、繊維業界にこだわらず「抜け出してよかった…!」と思いました。
▶ 辞める時に使った転職エージェント:リクルートエージェント
繊維業界の意外なメリット

ここまで厳しい話が続きましたが、いい面もありました。

悪いところだけじゃないんです
正直に書いておきたいと思います。
福利厚生が手厚い
これは業界ならではの強みだと思います。さらにいうと、私の勤めていた会社は老舗だったので特に福利厚生はよかったと思います。

独身寮、食堂、ここは本当に恵まれていました
繊維業界は歴史が長いぶん、制度がしっかり整えられているんですね。
例えば私の暮らしていた独身寮は6,600円で1Kの部屋でした。※10年ほど前
また、工場にあった食堂は1食400円、都会で食べたら1,000円を超えそうなボリュームでした。
額面の給料だけを見ると低く感じても、福利厚生を含めた「実質の待遇」で考えると印象が変わります。
年収の数字だけで判断すると、この部分を見落としてしまうので注意が必要です。
従業員を解雇しない
これも老舗企業の大きな安心感でした。
多少うまくいかないことがあっても、簡単にクビになることはありません。
雇用を守るという意識が、会社に根づいているんですね。
家族を抱えているような、安定を最優先に考える人にとっては、これ以上ない環境だと思います。
ただし、これは諸刃の剣的な要素もありました。
パワハラのような問題を起こした人でも、数年経てば何となく許されてしまう風潮があったのです。
厳しい処分が下されないまま、時間が問題を洗い流していく。
つまり「守られる」ということは、「問題のある人も守られる」ということでもあります。
繊維業界に向いている人・向いていない人
ここまでを踏まえて、整理してみます。

どっちが良い悪いじゃなくて、相性の話です
向いている人
- 安定を何より重視したい
- 急な変化やスピード感が苦手
- じっくり長く勤めたい
- 福利厚生を含めた待遇を大事にしたい
- ものづくりや素材そのものに興味がある
向いていない人
- 成果を出した分だけ評価されたい
- 20代のうちに早く成長したい
- 論理やデータで議論したい
- 給料を大きく上げたい
どちらが正しいという話ではありません。
ただ、後者に当てはまるなら、別の環境のほうが力を発揮できる可能性は高いです。
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繊維業界の経験は転職で活かせる

「業界が斜陽だから、経験も無駄になるのでは」と不安になるかもしれません。

そんなことないですよ。私も次の会社で活きました
でも、そんなことはありません。
なぜなら、繊維業界は古い体質だからこそキッチリしている印象を持たれやすいでからす。
大事なのは、そこで培った自分のスキルを業界の外の言葉に翻訳することなんですね。
たとえば私がやっていた原価計算や総務は、業界を問わずどこでも必要とされる仕事です。
繊維の知識そのものより、「数字を扱えること」「バックオフィスを回せること」のほうが評価されます。
製造業で原価を見てきた経験は、他のメーカー、製造業以外でも売り上げや施策の効果をみる部署でもそのまま通用します。
ここは自分ひとりで考えると難しいので、転職エージェントに相談するのが早いです。
無料で使えて、「あなたの経験はこういう会社で評価されますよ」と客観的に教えてくれます。
私自身も当時いろんな視点で会社を紹介してもらいましたので、自分でスキルの活かし方がよくわからない…という方は利用すべきだと思います。
▶ サラリーパンダのおすすめ:リクルートエージェント
おすすめのエージェントは、下記の記事で詳しくでまとめています。

繊維業界に関するよくある質問
繊維業界の平均年収はどれくらいですか?
厚生労働省の調査をもとにした業種別の平均年収では、繊維工業は357万600円とされています。
製造業全体の513万5,500円と比べると、150万円以上低い水準です。
ちなみに私は、新卒3年目で昇格して年収380万円ほどでした。
3年目で自動車業界に転職した同期は年収が80万円アップしたとのことです。
繊維業界に将来性はないのでしょうか?
業界全体としては厳しい面があるのは事実です。
ただ、高機能素材などに強い企業もあり、会社によってまったく状況が違います。
「業界」でひとくくりにせず、個々の会社を見ることが大切です。
3年で辞めるのは早すぎますか?
早すぎることはありません。
3年あれば、その会社や業界の全体像は十分に見えてきます。
合わないと分かった時点で動くほうが、次のキャリアには有利です。
まとめ
この記事のポイントをまとめます。

大事なのは、自分に合うかどうか!
企業としての安定性はあると思いますよ
- 古い体質、感覚での判断、年功序列が「やめとけ」と言われる主な理由
- 繊維業界の平均年収は製造業全体より150万円以上低い
- 一方で、福利厚生は手厚く、簡単に人を切らない安定感がある
- ただしそれは「問題のある人も残る」という裏面とセット
- 原価計算や総務の経験は、業界を出ても十分通用する
繊維業界がダメなのではありません。
ただ、あなたに合っているかどうかは別の話です。
「このままでいいのかな」と感じているなら、まずは外の世界を見てみることから始めてみてくださいね。


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